よくある質問

薪ストーブの快適で安全に暖炉を使うためには?∼法律と安全基準∼

数ある法律の中で、建築物に係わってくるのは「建築基準法」ですが、
これは建築物に対し最低の基準を定めて、国民の生命や健康、財産の保護を図ったものです。

住宅を設計した場合、法律に基づき、敷地・構造・設備等のあらゆる角度から適切な設計がなされているか、地方自治体のチェックを受けます。これが「確認申請」というものです。

暖炉の設置を予定した場合も、当然ながら法律に則して設計されているか、施工されたものがチェックされます。生命や健康・財産を守るわけですから、特に裸火を扱う器具に関しての安全確認は厳重です。ただ、この法律は昭和25年に前記の目的を持って作られたのですが、日本の暖炉の歴史を振り返ると、欧米と比較して一般住宅内に設置された暖炉の数は極めて少なく、暖炉に関係のある法律も皆無に等しいのです。

法律施行から現在に至るまでの住宅の急発展のなかでは、暖炉という火の文化は置き去りにされがちでした。建築基準法施行令の中に「建築物に設ける煙突」の記述があり、煙突に関する構造と安全基準が僅かにあるだけです。「壁付き暖炉」という言葉も出てきますが、述べられている内容もやはり煙突に関するものです。

現在、暖炉そのものの設置に対しての基準はありません。市場に存在する数多くの暖炉に対応するのは難しい状態です。法律のいう「壁付き暖炉」も世界的に見て1%も存在していないでしょう。そして煙突を「金属製または石綿製煙突」としていますが、現在暖炉に使用されている安全性の高い「断熱二重煙突」のことではなく、昭和25年頃の鉄板製一重煙突のことなのです。また可燃物からのクリアランスも15センチメートル以上となっていますが、これでは「煙突火災」が発生した場合、木製の壁は発火してしまいます。

アメリカの消防法では、シングル煙突の可燃物からの離隔距離は46センチメートル以上としています。ほんの一例ですが日本の建築基準法では、現状と矛盾している場面のあれば危険な場合も出てきます。暖炉を囲んで団欒のひとときどころではありません。

暖炉が原因で発生する事故は、ほとんどが火災です。火災の発生要因は大きく分けて2つあります。薪を燃料とする場合に煙突内部に付着したタールが燃える「煙突火災」と、本体や煙突から放射される熱による木材の「低温着火」が原因の火災です。これらを防止するためには、暖炉本体の周辺や煙突と建築物との関係など注意深く考えなければなりません。設計の段階から施工に至るまで、常に「安全性の確認」をしたいものです。

現在、日本暖炉ストーブ協会では建築基準法と暖炉先進国の安全基準をもとに、協会基準を設けています。また、日本の暖炉に関する法律の整備や安全基準の確立に役立つことを願っています。設置施工に当たっては、十分な技術をもった安心してまかせられる業者にご相談下さい。

 

修理窓口
きこりあぐり通販